
水戸市長木村傳兵衛氏から電話があり「相談したいことがあるから来てくれないか」「市民である寝たきり老人が、お風呂に入りさっぱりしたい。なんとか入れて欲しい。と切なる願いを聞くが、今ある風呂では入れてあげられない。なんとか望みをかなえてあげたいが、何か良いアイディアはないだろうか。」「実は宇都宮市の入浴自動車を見に行って来た。あれでは大きすぎて水戸では使えない」と要請があった。
デベロとしてはまだ自動車による入浴は計画していなかった。宇都宮市にバスバス方式(中型バスに浴槽を設置)の入浴自動車があるということは聞いていた。「ではなにかお考えがありますか?」と伺うと「小型自動車で狭い道路でも入れる移動入浴車は考えられないだろうか」との話。私共はその案をいただき引き下がった。座敷で使える浴槽は既に開発済(デベロリハビーバス)だったので、これを活用することにより要望はかなえられそうだ。バスバス方式は浴槽を車内に固定しているので旧来の銭湯に「風呂に行く」入浴習慣をそのまま踏襲した考えで設計されたもの。浴槽を固定すれば脱衣所も要る、それなりのスペースが必要になる。人が風呂に行くのではなく、風呂が人の側まで来る発想の転換をすれば出来そうだ。浴槽を搭載物にすればよい。脱衣所も不要、車椅子で連れてくることもないからリフトも必要ない。あとは湯沸器、水タンク、ポンプ等を設備すればよい。小型化の移動入浴車は可能となった。これで狭い道路にも入り対象者の軒下まで行ける。「老人を動かさずに風呂を動かす。風呂が行く」「寝たきり老人にとっては、寝床の側で入れてもらえる」動かされない老人でも入浴が可能になった。
小型自動車に装備等着手した。設計は後回しにして実物で進行していった。水タンクは300ℓとして、湯沸器はLPG式を採用。ガスボンベの設置が最も苦心したところだったが組み上がっていった。想像通り進行したところで木村市長を訪問した。風呂に行く浴場式から、風呂が来る自宅入浴方式にし、小型自動車で充分できることを報告した。
数日後ご発注をいただき試作第1号は水戸市に納入することになった(昭和47年6月納車)ネーミングは、移動巡回して寝たきり老人を入浴させるのだから移動入浴車に統一、商品名は入浴車だからBATHCAR(バスカ)ときめた、デベロバスカの誕生であった。
((株)デベロ30周年記念誌「あゆみ」より抜粋)






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